「収集した物を保管する」苦労(本で床は抜けるのか 読了)

本で床が抜けるという話は、稀によく聞く。
人間が収集するものの中でも比較的集めやすく、重い部類に入るであろうものが本だ。
文庫だと新品価格で300円のものもあるし、古本屋ならもっと安く手に入る。「本が好きな人」は基本的には「たくさん違う本を読む人」とほぼ同義だろうから、新しい本をどんどん手に入れていく。そうして手に入れた本達を本棚に一面ずらりと並べると重量はかなりのものにあるだろう。重量を正確に計算したことはないが、同じ段ボールの大きさに本が詰まっているのと服やフィギュアが詰まっているのとでは重さが全然違うという感覚的な経験はある。

最近、家の玄関の建て付けが悪くなった。とにかく開け閉めがしづらい。
玄関はいわゆる「引き違い戸」なのだが、いつも使っている方の戸のみが開け閉めしづらく、使っていない方は普通に開閉する。原因が何なのかはちゃんと業者に調べてもらわないとわかないと思うが、ふと、家の傾きが心配になった。
2階が本をはじめとした物で溢れかえっているのだ。

というわけで「本で床は抜けるのか」を読んでみた。
実際に床が抜けた話、蔵書に溢れ返った家の話(著者自身も含めて)、「自炊」の話、亡くなった人の蔵書をどうするか問題、大量の本を管理する図書館の話など、「所有している本の管理」にまつわる話が様々出てくる。

本で床は抜けるのか (中公文庫)


本に限らず、「物をたくさん買う人」「コレクター」にはいつか限界が訪れる。その限界は、往々にして「スペースがないこと」だ。この限界が来た時にどうするか、取れる手段は二つしかない。

・手放す
・収納スペースを増やす

手放すというのは何もすべてを、という話ではなく、買い続けるが全て保管せず厳選して残すというのも含まれる。本の場合は場所の問題を解決する方法として電子書籍という選択肢もあり、そちらの選択肢を取っている人も紹介されていた。

収納スペースを増やす……こちらは自宅の模様替え程度で賄えるスペースならともかく、自宅以外に保管場所を得ようとするとお金が格段にかかる。本書でも書庫を別に建築した人の話が出てくるし、著者自身もフリーライターの仕事場として自宅とは別に部屋を借りており、更に自宅にも本が溢れる、という状態だった。
書庫を建築する費用もさることながら、別に部屋を借りるというだけでも都内なら月々の家賃は馬鹿にならない。

さて、どちらにするのか。私自身も考えなければならない。見ないふりをしてきたが、スペースの限界はとっくに訪れているのである。綺麗に、たくさん、安価に保管できるところがあればいいのだが……なるべく近い範囲で……。

最後の著者の顛末は切ない。著者には突然のことと思われただろうが、妻には積もり積もった不満があったのだろうと想像される。が、これ以上は邪推か。娘さんと現在も度々会えているとのことで、少しホッとした。

本をはじめとした他人の物が自分の生活居住範囲に「侵入」しているというストレスは私も感じたことがあるし、感じさせてしまっていることでもある(現在、私物が自室を超えて保管されている状態にある)。家族といえど他人であり、私物を置く範囲は自室に留めた方がいいし、仕事の物なら仕事場(又はそれに準ずるところ)に置いた方がいい。

とりあえず整理整頓をするところから始めよう、と思った。

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読書
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