「墓から蘇り、血を吸う紳士の姿をした生き物」像(吸血鬼ドラキュラ 読了)

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ブラム・ストーカー作「吸血鬼ドラキュラ」。本の名前は知っているが、そもそも吸血鬼に対する知識もぼんやりとしかなく、吸血鬼とドラキュラの区別はつくがドラキュラと名のついた映画も見たことがない(後に「ヴァン・ヘルシング」を見たなそういや…と思い出した程度)、クリストファー・リーと言えばドゥークー伯爵…という知識レベルだったので、今回通して読んでよかった。

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)


創元推理文庫の1971年の平井呈一訳で、書面のレイアウトや文体に古さは感じるものの、古典ということでこの古式めかしい雰囲気が逆にいいというところでもある。
前半のジョナサンの囚われパート、終盤のドラキュラを追う主人公一行のシーンは正直に言えば長くて飽き飽きしてしまい、他の抄訳版や絵本(全く話の詳細が違っていて笑った)などに浮気したり読み比べたりしながらなんとか読了した。
だが、長い分ルーシーに結婚を申し入れた男性三人の心情が細やかに描かれていたり、ルーシーが弱っていく様子をやりきれない気持ちで見守ることができた。
最後はあっけないと言えばあっけないが、あの状況では大変適切なタイミングで倒せたとも言える。
書簡体に関しては、一部手紙や新聞記事を除くと、セリフが詳細すぎるので、単なる視点変更として捉えてしまったりした。書簡体の小説を読むのは初めてなので、他もこんな感じなのだろうかと思う。

「ハリウッド・ゴシック―ドラキュラの世紀」を併せて読むと、その後ドラキュラがどのような演劇や映画になったかを追うことができてそれも面白かった(「著作権の鬼」の姿も垣間見えるが)。

ハリウッド・ゴシック?ドラキュラの世紀

ドラキュラに関して

髭の生えた、息の臭い男。
映画のビジュアルが影響してか、今日日滅多にお目にかかることのないドラキュラの外見である。
後半では焦っているのか、季節外れの麦わら帽子をかぶるお茶目(?)な一面も。

その姿は鏡に映らず、影もなく、飛び抜けた怪力を持ち、蝙蝠や狼に変身できる能力を持ち、嵐や雷、霧を起こせる。

だが、日中はそんなスーパーパワーを発揮することはできない(陽の光を浴びても灰になるわけではない)。また流れている水の上や自分の棲家の泥がなくても同様。この為、ドラキュラは遠路はるばるトランシルヴァニアからイギリスまで、泥の入った箱を50箱送っている。

ニンニク、十字架、聖餅(をはじめとした聖なるもの)に弱い。これを掲げられると近寄ることができない。
また、招待されていない家に入ることができない。一度入ってしまえば、以降は自由に出入りできる。

血を吸われた人間は徐々に歯が鋭くなり、死後に吸血鬼になるという。
退治方法は胸に杭を打ち込み、首をちょん切ること。棺で寝ている間は外でどんなどんちゃん騒ぎがあっても起きることはない。

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