彩度の高い美しいイラストと暖かい物語が繰り広げられる、クマとピアノにまつわる絵本のシリーズ。全三冊。
英語多読用にと思って図書館で借りたのだが、日本語訳も出ているということで、後追いで借りてみた。訳者は俵万智。サラダ記念日の人だ(という国語の教科書の知識しかない……)。
クマと森のピアノ
原題:The Bear and the Piano
クマがピアノと出会い、有名になり、古巣に戻るまで。
日本語訳は個人的にクマに「ブラウン」と名前をつけている点が一番大きな変更点かもしれない。
英語では三人称視点になっている文を、一人称に変更している文があったりするのが面白い。
日本語訳で「グレイ」と名付けられたクマ、たしかに一作目では他のクマより特別なポジションにいるように見えるのだが、二作目以降姿が見えない。
イヌと友だちのバイオリン
原題:The Bear, The Piano, The Dog and the Fiddle
クマの本のシリーズだが、今回の主役はイヌのヒューゴ。そして一緒に暮らす人間のヘクター。
自分よりも才能があり、羽ばたいていく友人を歓迎できるだろうか?
それが自分が人生をかけて打ち込み、食べていけなかった仕事なら、なおさら。
英語版で大文字+更に他の文章より大きくなっている文章の部分を、日本語訳では特に大きな文字にしていないのが一番大きな変更点かもしれない。
クマとこぐまのコンサート
原題:The Bear, the Piano and Little Bear’s Concert
実はこの本から先に読んだので、いきなり存在しない記憶で始まってビックリした。
森に戻ったクマの元で子熊がいきなり生えてきたのには驚いた。孤児なのだろうか?一作目に登場した日本語訳で「グレイ」と名付けられたクマとの子供ということも考えられるが、全く登場しないのが気になる。
喝采を浴びていた全盛期、それを失い去る辛さ。特に舞台に立つ仕事やスポーツ選手などには普遍的に起こる出来事のように思う。
最後の舟のページにヒューゴと一緒にヘクターがいたのがよかった。
そういえばブラウン楽団を去るページに一作目の親子もいたが、マネージャーをやっていたのだろうか?と思って見直したら、二作目のバスの運転手もやっていた。完全にマネージャーだった。
子熊は翻訳では「こぐま」のまま。
全体的に日本語訳本は英語本より赤みが抑えられているものの、ほぼそのままの色味でよい。
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