「グレイマン」を見終えて、何か他に見たいなと思って見てみた映画。
推理小説家が誕生日パーティーの翌日に死亡しているのが発見される。警察は自殺だと断定したが、私立探偵ブノワ・ブランが正体不明の誰かに雇われて再捜査を行う、というミステリーもの。関係者に話を聞けば、どうも誕生日パーティーの日に色々いざこざがあったらしく……。
ダニエル・クレイグ主演ということでいつジェームズ・ボンド的アクションが始まるかと期待してしまったが、当然そういう映画ではない。今回は渋い探偵を演じている。
ヒロインであるマルタ・カブレラ役の役者名を見たら驚いた。アナ・デ・アルマス!先程「グレイマン」で見かけたぞ。全然顔が違って見える。凄いな。
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」にも出ているそうで、そうなるとダニエル・クレイグとは短いスパンで共演ということなのか。
クリス・エヴァンスはここでも悪い顔。こちらも「グレイマン」とはまた違った印象。
キャラクターとしては長女のリンダが意外に好き。あの家族の中では自立していると思う。タバコの吸い方がかっこいい。炙り出しはいいねえ。
以下少しネタバレ。
正直に言えば、中盤頃にわかった「真相」で少し気持ちがダレてしまった。これはただ単に事件の詳細な内容は最後にドンと明かされる方が私の好みだからというだけなのだが。
しかし、この手法が序盤私の目を惹きつけたのも確か。要は関係者の尋問中、関係者たちの過去の回想の中で色々な出来事が明かされていくのだ。観客はそれを踏まえた上で刑事たちに発言する関係者を眺めることができる。
そして中盤頃にわかる「真相」は勿論これで全てではなく、その後更にいくつもの真実が明かされるし、ストーリーも更に展開するという点は補足しておく。
老小説家とマルタのやりとりは気心が知れている感じがしてよい。そして誕生日パーティー当日のやりとりは物悲しい。
作品の要素として移民問題も絡めているのが「現代のアメリカ映画」らしくも感じる。
奇しくも先週土曜日放送の名探偵コナン(第1051話「森川御殿の陰謀(後編)」)が同じく遺産相続のいざこざ(あまりミステリを見てないせいもあるが、推理に「加齢臭」を挙げるミステリーはなかなか新鮮だった…大和屋暁脚本、シュールである)だったが、資産がある場合ある程度振り分けておかないと軋轢が物凄いなと。(或いは軋轢があるという話にしやすい)突然放り出すという荒治療には反発も当然大きいのだろう。老小説家本人も分かってはいただろうが……。
若いうちに譲らないと公言しておく方がスムーズなのだろうな。それこそ主演のダニエル・クレイグのように。
しかし大富豪が血縁でない人間に全ての遺産を譲るという展開は推理小説で何度か見た記憶があるのだけど、タイトルが具体的に出てこないぞ。横溝正史にもあったような……ううむ、思い出せない。
オマージュがいくつかあるらしい。(本当にそうかな?と思うものもちらほらあるが)
名作のオマージュ&遊び心が満載!「ナイブズ・アウト」に隠されたトリビア30
そしてアガサ・クリスティ「ねじれた家」が一番似ているらしい。今度読もうかな。
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