三年ぶりのF1日本GP

先日、実に三年ぶりのF1日本GPが開催された。
コロナ禍で外国人の入国が難しく、開催困難ということで2020年、2021年の日本GPはキャンセルされていたのだった。
私個人は現地観戦が難しい状況だったので、チケットが売れていくのを指をくわえて眺め、フジテレビNEXTとDAZNの各セッションの中継や、関連番組を見たりしながら過ごした週末だった。

大半のドライバーはシンガポールGPが終了した後すぐに日本へフライトしたらしく、月曜には到着。渋谷などにいるドライバーたちの写真がインスタなどにアップされていた。(ボッタスはインドネシアでトレーニングをしていた)

 

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また、日本GP仕様のデザインのヘルメットを用意したドライバーも何人かいる。
F1-Gate.comF1-Dataの記事がよくまとまっているのでそちらを参照のこと。

個人的にはミック・シューマッハのヘルメットデザインが美しくて好きだ。


ドイツ語でのコメント動画もある。

予選

日本GPに関してメモしておきたいことは色々色々あるのだが、とりあえず記憶に新しいセバスチャン・ベッテルの予選について。
7月に2022年限りでの引退を発表したベッテルにとって、鈴鹿でF1を駆る最後の機会となる週末である。かねてからベッテルは鈴鹿サーキットのことをよく褒めてくれており、本人も思い入れがありそうなサーキットの一つであったが、今週末は彼の今年のハイライトの一つになりそうなものとなった。

ベッテルのシンガポールGPまでの今季予選結果は以下の通り。
18-9-13-16-9-9-17-18-20-14-18-16-19-17-14
予選順位の平均は15.13。特に中盤戦から相対的にアストンマーチンの順位が落ちているのが分かる。
ちなみに同僚のストロールは19-15-20-15-10-18-18-19-18-20-17-17-14-14-10-18-12。順位平均は16.11。
直近のアストンマーチンの予選結果を見ればわかる通り、このチームは「Q2は通過できる(たまに落ちる)がQ3に行くのは難しい」マシンとなっており、「Q2まで走るのを見たいからQ1は突破してくれ」というのが個人的な予想であった。

と、そんな中で迎えた鈴鹿。
ベッテルのQ2の走りは見事だった。11位のリカルドとの差は0.003(リカルド本人は自分のミスを悔しがっていた)。ベッテルとしては実に10戦ぶりのQ3進出である。
また、Q3では新品のソフトタイヤが一本しか残っていなかったため、1回のみの予選ランにすることを選択。そのため、他の2回ランを行うマシンとは異なるタイミングでコース上でアタックでき、アタック後はまるでレース終了時のような「ウィニングラン」を行えた。


正直に言ってこんな無線を聞いたら泣いてしまう。

決勝

岸田首相や山本左近や堂本光一や鈴木亜久里や近藤真彦や……など政治家や芸能人などが多数見受けられた決勝当日。King & Princeが「なぜか」6人揃っていたり、水樹奈々が国歌独唱したりなど話題も様々あったようだが、肝心のレースは雨に振り回された。
ドライバーズパレードくらいまでは天気がなんとか持っていたようだが、レーススタート時には雨。スタンディングスタートで一応レースが始まったものの、3周目に赤旗中断。ここから実に2時間近くのレース中断と相成る。
近年のF1レースはレーススタート後に中断も含めて3時間で興行切り上げとなるので、寒く雨も降り、タイムリミットが迫る中で現地観戦組はひたすら待つ……という状況だったようだ。

(中断中はアルファロメオのスタッフが(おそらく即席で)こんな幕を作ってくれたり、他のチームスタッフもグランドスタンドに向かってウェーブ指示して楽しんでたりもした。)

このまま時間が経過し、すわ2021年ベルギーGPの二の舞か……と思われたが、レースはおよそ1時間を残して再開。水煙が上がる中、セーフティーカー先導でのローリングスタートとなった。
短縮レースとしてはタイヤ交換のタイミング、複数個所でのドライバー同士の攻防(オコンとハミルトン、ベッテルとアロンソ、角田の追い抜きなど)が行われ、見ごたえがあったレースだったのではないかと思う。

レースがあと一周あるんだかないんだかよくわからない状況(motorsport.comの記事を参照のこと)だったので、トップチェッカーを受けた瞬間のフェルスタッペンの映像は映らず、最終ラップでかなり接近戦を繰り広げていて、最終コーナーであわや抜かれるか、抜くかといった攻防があったベッテルとアロンソも国際映像には一切映っていないという、テレビ観戦組としては少し残念なファイナルラップだった。が、あの寒そうな雨の中最後まで待っていた現地観戦組の方々にとってはよいものが見れたのではないかと。
また途中で帰宅判断をした現地観戦組の皆様、お疲れさまでした。あの雨では再開するかは微妙なところだったので、帰宅判断も妥当なところだと思います。

日本GPのDriver Of The Dayはセバスチャン・ベッテル。ファイナルラップの攻防時には投票は締め切られていたとは思うが、レース再開後すぐにウェットからインターミディエイトタイヤに履き替えた判断で最後尾付近から6位にジャンプアップした判断力だけでもDriver Of The Dayに値すると思う。ウィリアムズのラティフィも同様に同じ周でピットインし初ポイント獲得。最後尾付近に落ちた故にタイヤ交換の判断を下しやすく、一足先に動いた二人の順位はジャンプアップする結果となった。

一方でアロンソは終盤、再度タイヤ交換し一時10位まで落ちるものの、コース上で次々とマシンを抜いてピットイン前の順位に復帰。ファイナルラップにはベッテルに迫る勢いで、こちらのピットインの判断も見事。

しかし、2時間もの中断が行われた雨量でも(いくら再開時には雨が弱まったとはいえ)ウェットタイヤではなくインターミディエイトの方が速いとは、いったいウェットタイヤはいつ使用したらいいのであろうか。
後知恵だが、最初のレーススタート時にスタンディングスタートではなくローリングスタートだったのなら、序盤はもう少し周回できたのだろうか?現地観戦ではないので雨の強さがどれほどだったのかわからない。雨雲レーダーでは2-4mmの雨を示していたが……。

チャンピオンなの?

僚友ペレスがずっと2位を走行していたルクレールにプレッシャーをかけ続けた結果、最終ラップのシケインでルクレールがコースオフ。ポジションを戻さずゴールしたことでペナルティが異例の速さで確定し、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレールという順位が表彰台前に決定される。

鈴鹿でフェルスタッペンがチャンピオンを獲得する条件は、ルクレールと8ポイント差つけること。

・フェルスタッペンが1位だった場合、ルクレールが2位に来るとファステストラップの1ポイントが必要、ルクレールが3位以下なら確定

というのが事前に言われていた条件だったが、雨で規定周回数の50%超えしか走れなかったため混乱が生じた。

詳しくはFIA公式サイトにあるスポーティングレギュレーション(リンク先PDFファイル)の6.5を見てほしいのだが、通常レースの規定周回数50%以上、75%未満で終了した場合は

e)If the leader has completed 50% but less than 75% of the scheduled race distance,
points will be awarded in accordance with column 3 of the table below.

「リーダーが予定されたレース距離の50%を完了したが75%未満の場合、ポイントは以下の表の列3に従って付与されます。」が適用されると思われていた
Points Column 3というのはつまり、1位19点、2位14点、3位12点、以下10-8-6-4-3-2-1と通常よりも8位以上へのポイントの付与が少なくなる状態である。
こうなると1位19点の2位12点で、得点差は7ポイント。フェルスタッペンはファステストを取っていないため1ポイント獲得できておらず、これだとチャンピオンは確定しないと思われていた

結果は全車通常通りにフルポイントが付与され、1位25点の3位15点、10ポイント差でフェルスタッペンが二度目の王者となることになり、(特に表向きF1に参戦してはいない筈だが)PU提供元であり日本GPタイトルスポンサーであるホンダのお膝元で戴冠するという形になった。

なぜフルポイントになったかといえば、同じく6.5の最初の文に、

If a race is suspended in accordance with Article 57, and cannot be resumed, points for
each title will be awarded in accordance with the following criteria:

「第57条によりレースが中断され、再開することができない場合、各タイトルは、次の基準に従って授与されます。」と書かれているのだが、この「and cannot be resumed」再開することができない場合、というのは、雨などで途中でレースが中断してそのまま終了した場合に以下の(ハーフポイントなどの)ポイント制度が適用されるため、再開後チェッカーを受けた場合は規定周回の50パーセントだろうが25パーセントだろうがフルポイント付与する、ということらしい。

そんな運転免許の学科試験みたいな文章、わかるか!

というわけで直後は混乱したものの、今回はフルポイント付与でよい、という話だそう。

(ちなみに上記の「ファイナルラップがいつなのか」問題もスポーティングレギュレーション5.4bの項目を参照すると、3時間が経過した時点でレース終了となるため、2時間ルールと異なりプラス1周は行われないとのこと。ルールの把握ってむつかしいね……)

とにもかくにも2年連続チャンピオンおめでとうマックス。この勢いは当分続きそうだ。

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